オンラインカジノは違法か否か?

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海外では合法的に行われているオンラインカジノですが、昨今その違法性について問われるような事件が起こっており、はたしてオンラインカジノを行っても大丈夫なのか不安に感じている方もいるのではないでしょうか?

最近では、オンラインカジノの決済代行サービスを運営していた人物のうち2人逮捕、5人が書類送検、さらに顧客21人が単純賭博容疑にて書類送検されるというニュースがありました。

オンラインカジノは、実際のところ違法なのでしょうか?ここでは利用者側と運営側の双方の立ち位置からオンラインカジノの違法性について考えてみたいと思います。

利用者側から見たオンラインカジノ

利用者にとってオンラインカジノが合法に見えるのは、日本に居住していながらも海外サイトとはいえアクセスができる点にあります。それに海外の事業者であっても運営が合法であれば、日本国内からアクセスして利用しても大丈夫だろうと思っている人は非常に多いと思われます。

以前はこのあたりがグレーだったものの、2023年に入ってからは風向きが変わってきたと感じており、警視庁や消費者庁がオンラインカジノを「犯罪」だとはっきりと主張しています。海外の運営会社であってもオンラインカジノに日本国内からアクセスして遊ぶ行為には賭博罪が適用されるのです。

2022年に警視庁および消費者庁が作成したポスターには「日本国内ではオンラインカジノに接続して賭博を行うことは犯罪です」と記載されており、ここでは「賭博」という言葉を持ちいてオンラインカジノの違法性を謳っています。ポスターには、賭博罪の場合には「50万円以下の罰金または科料」に、常習賭博罪の場合には「3年以下の懲役」と記載されています。

ちなみに明治40年に制定された刑法の中には以下のように記載されている箇所があります。

第二十三章 賭と博及び富くじに関する罪
(賭と博)
第百八十五条 賭と博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭かけたにとどまるときは、この限りでない。
(常習賭博及び賭博場開張等図利)
第百八十六条 常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。
2 賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

これにより賭博罪、常習賭博罪が適用されるようです。

実際にオンラインカジノを利用した人物が賭博罪で検挙された事例もあり、令和2年では16件121人、令和3年が16件127人、令和4年が10件59人検挙されたと報告されています。

オンラインカジノの検挙例

これまで自宅などでオンラインカジノ利用した賭博事犯の検挙例には

  1. 日本国内の自宅で、自宅に設置されたパソコンを使用し、海外の会社が運営するオンラインカジノにネット接続し、同サイトのディーラーを相手方として賭博をした客を「単純賭博罪」で検挙
  2. 日本国内の客を相手として、日本国内の客の自宅などに設置されたパソコンから、海外に設置されたサーバー上のオンラインカジノサイトにアクセスさせて、金銭を賭けさせていた者を常習賭博罪、客を単純賭博罪で検挙

といったものがありました。

日本国内で賭博行為を行えば違法であるということは、多くの人が認識している一般常識だと思われますが、海外のオンラインカジノと謳っているものの実際には国内サーバで運営されている、国内の事業者が海外サーバを経由させて運営を行っている可能性も否定はできないので、オンラインカジノに参加することは非常に危険と言われているのです。

運営側から見たオンラインカジノ

運営側はオンラインカジノをなぜ日本語サイトを作ってまで運営しているのでしょうか?それは日本からアクセスするユーザーが多いからです。2021年には日本からのオンラインカジノのアクセスが1億2000万回あったとも言われています。なかには日本の顧客が売上の大半を占めているようなオンラインカジノ運営会社もあるのだとか。そうなると、日本語サイトを作って日本人顧客を囲い込むことに力を入れるのも当然かもしれません。

ところがこのオンラインカジノには「無料版」といったものがあり、お金を掛けなくても遊べる(トライできる)サイトが存在していることがあります。この存在こそがグレーを助長します。無料版であればお金をかける行為はないため、当然違法ではありません。しかし、その存在は確実に有料版へのプロモーション効果を持っています。一時期は日本代表も務めたサッカー選手もオンラインカジノのCMに出ていたのは記憶に新しいのではないでしょうか。

まとめ:オンラインカジノは確実にグレーからブラックになりつつある

海外のオンラインカジノは合法とされているものなので、日本から運営会社を摘発することは不可能に近いです。そのため、日本からのアクセスをブロックするという考えも無くはないですが、情報を遮断する行為は言論統制にもつながりますので、慎重に考えなければいけない問題です。よって、オンラインカジノの違法性を訴えるのであれば、今以上の周知をさせていかなければなりません。

最近はオンラインカジノを紹介するブログなどでも、「このサイトではオンラインカジノを推奨はしているわけではないが紹介はする」といったニュアンスの表記が目立ちます。また「海外にいる日本人に向けたプロモーションサイトである」ということを謳っているサイトもあります。現在の世の中の流れからみて、オンラインカジノは徐々にグレー領域からブラックな領域に移行していることは明らかです。それを認識した上でオンラインカジノをやるとするならば、常に自己責任である旨を認識したうえで行いましょう。