読者「チャートがカップの形になると、買いの合図なんですか?」
億マネ「『カップウィズハンドル』と呼ばれる形ですね。上昇を考える材料にはなりますが、形が見えただけで買えばよい、というものではないんですよ」取っ手の付いたカップに似ていることから、カップアンドハンドルとも呼ばれます。ウィリアム・J・オニールが広めた株式の分析で知られ、典型的には、それまでの上昇の途中で調整し、再び上を目指す形として考えます。単に下落相場が必ず上昇へ変わるサインというわけではありません。
FXのチャートで似た形を探すこともできますが、株式で使う形成期間や出来高の基準をそのまま当てはめられるとは限りません。ここでは形の見方、売買を検討する位置、見間違えやすい点を順に確認しましょう。
カップウィズハンドル、形だけで買っていい?
形を見つけた後は、注文の条件と失敗したときの対応を決めます。
← 表が収まらない場合は、左右にスクロールできます →
| 場面 | 観察すること | まだ決まらないこと |
|---|---|---|
| カップらしい形が見える | 下落から回復までの値動き | 形が似ているだけで上昇が確定するわけではない |
| ハンドルらしい押しができる | 押しの深さや推移 | どの市場・時間足でも同じ基準が通用するとは限らない |
| 上値を抜ける | 事前に決めた価格条件を満たすか | だましや約定価格のずれは起こり得る |
| 出来高を参考にする | 表示が実売買量かティック数か | FXのティック数を市場全体の取引量と同一視しない |
株式向けに説明された型をFXへそのまま当てはめません。注文数量と損切り条件を決めても、損失の発生は防げません。
目次
カップと取っ手は、どの値動きを指しているの?
まず、それまで上昇していた価格が高値を付け、いったん下がります。その後、底付近でもみ合い、なだらかに戻って以前の高値近くへ達する部分が『カップ』です。そこから短い調整を挟む部分を『ハンドル』、つまり取っ手と呼びます。高値を越えるまで、形が完成したとは言い切れない点も大切です。
読者「どうして、一度下がってから戻るんですか?」
億マネ「利益を確定する売りや、その価格なら買いたいという注文が重なる、と説明されることがありますね。ただ、チャートだけで全員の心理を確定できるわけではないんです」価格は売買の結果であり、ニュースや経済指標、株式なら決算など、さまざまな要因が影響します。『みんなが同じことを考えたから』と単純化しすぎないようにしましょう。
底の部分では、下落が続く状態から横ばいへ移り、その後に戻りが見られるかを確認します。例えば形を理解するための仮定として、100から80へ下がり、しばらくして98付近へ戻れば、U字の輪郭を想像できます。これは特定銘柄の価格予想でも、20%下がれば買えるという基準でもありません。途中でもう一度安値を更新すれば、想定していた形が崩れる場合もあります。
以前の高値近くへ戻ったところで、再び小さく下がったり横ばいになったりする部分が取っ手の候補です。先ほどの仮定なら98から94へ下がり、その後100近辺へ戻るような動きです。
読者「慣れた人には、ここから上がると分かるんですか?」
億マネ「経験があっても、次の値動きは断定できませんよ。上がらなかった場合にどうするかも、同時に考える必要があります」実際には左右がきれいにそろわないこともあり、見た目だけで都合よく名前を付けないことが大切です。
買いを考えるのはどこ?高値越えと失敗した場合をセットで見る
カップウィズハンドルでは、取っ手付近の高値を上に抜ける動きを確認する考え方があります。これをブレイクアウトといいます。ただし、高値を少し越えた後に押し戻される場合もあり、『買いが集まったから当面は下がらない』とはいえません。
読者「高値を一瞬越えたら、すぐ買うんですか?」
億マネ「一瞬の値動きで判断するか、ローソク足の終値を待つかで、結果は変わりますね。先に確認方法を決めておきましょう」
終値を待つ方法には、途中の上下動で判断しにくくなるのを避けやすい面がありますが、待つ間に価格が動いて購入価格が高くなる場合もあります。どちらにも不利な点があるため、万能な入り方はありません。損切りを考える価格までの距離と、注文数量を合わせて確認します。
ブレイクした後に、以前の高値付近まで戻る動きを待つ考え方もあります。ただし、必ず戻るとは限らず、そのまま上がる場合も、戻った後さらに下がる場合もあります。仮に100で買い、97で売って終了する計画なら、1単位当たり3の値幅を負担する想定です。数量が100単位なら300の損失に相当しますが、費用や価格のずれを除く計算例です。指定価格での成立は保証されません。
株式では出来高を合わせて見る手法がよく使われます。一方、FXのMT4・MT5などで表示される出来高は、価格更新回数を数えるティックボリュームの場合があり、市場全体の売買金額ではありません。
読者「棒グラフが減ったら、すぐ売りではないんですね」
億マネ「はい。何を数えたデータなのかを確認し、価格の動きや決済ルールと一緒に見てくださいね」出来高が落ち着いたことだけで、上昇の終了や利確の正解を断定しないようにしましょう。
U字とV字、深い取っ手はどう見分ければいい?
典型的なカップは、急に下がってすぐ戻るV字より、底で時間をかけるU字として説明されます。ただし、U字なら勝てる、V字なら人の心理が関係していない、ということではありません。急落・急反発はニュースや市場の流動性などでも起こり、形の名前だけではその後の成否は決まりません。
読者「形がきれいなら安心、ではないんですね」
億マネ「そうなんです。直前の上昇や、高値を越えた後の動きも合わせて確認しましょう」
取っ手の下落についても、『40%までならよい』『10%を越えると必ず失敗』という共通ルールはありません。下落率を価格自体から計算するのか、カップの深さに対する比率で見るのかでも意味が違います。例えば100から96への下落は価格の4%ですが、カップの底が80なら、深さ20に対する戻し幅4は20%です。同じ動きでも分母によって数字は変わります。深い調整で上昇再開という見立てが弱くなる場合はありますが、何%なら安全と決めつけず、基準と対象市場を明確にしてください。
見つける練習は、時間足と判定基準をそろえるところから
読者「カップに見えたり、見えなかったりします。どう探せばいいですか?」
億マネ「まず同じ時間足で、直前の上昇、高値、底、戻り、取っ手の順に印を付けてみましょう」画面を縮小すると前後の流れを見やすくなりますが、縮尺を変えて都合のよい形に見せないことも大切です。自動で候補を表示するツールがあっても、検出された形が利益を保証するわけではありません。
株式向けのIBDの教材では、形成期間の例として最低7週間、カップの深さとして15~30%などが示されています。これらは株式分析の目安であり、FXの5分足や日足にそのまま適用する普遍的な条件ではありません。『事前に必ず30%上昇』『3~6か月でなければ無効』と固定せず、使う手法の定義、対象市場、時間足を区別してください。
練習では、成功して上昇した例だけでなく、高値を越えた後に下がった例も記録すると、後から見た印象に偏りにくくなります。取っ手の幅や期間をどの基準で測ったか、注文と決済の位置、費用も残しましょう。見つけた形に無理に取引を合わせる必要はありません。条件を説明できないときは見送り、カップウィズハンドルを、未来を当てる印ではなく値動きを整理する材料として使ってください。



